刹那主義至上主義

こいついつも推敲してないな

「この世界にiをこめて」という小説を読みました。

 やっぱり佐野徹夜さんはぼくのために小説を書いているのかもしれない。そう思った。

 ぼくはこの感想を読み終わって今、すぐに書いている。ほんの二十分ほど前に読み終えたばかりだ。こうやって感想を書くことそれ自体に意味なんてないのかもしれないけれど、それでも、それこそ、ぼくの感想が誰かに届いてそれが何かを生み出すことに繋がるのかもしれない。それにぼくが書きたいと思ってしまったんだから仕方ない。きっとぼくが感じた全てを言葉にすることはできないけれど、それでもぼくが書きたいのだから仕方ない。あと、この感想はぼくの私事に関係することを多分書いてしまうから、そういう類が嫌いな人、純粋な作品の感想が読みたい人は読まない方がいいかもしれない。
 今朝、きっと七時くらいに起きて、すぐにぼくはゲームをしていた。起床してすぐに頑張るということができない――いや、できないということにしている――から、ゲームをすることはいつものことだった。今日は腕が振るわなくて気分が悪かった。だから、ぼくは逃亡先である虚構世界から逃亡して現実世界へと場所を戻した。すると、昨日ようやく買ったこの本が視界に入ってきた。手を伸ばして読み始めた。読み始めて数分経って、ぼくは今朝ゲームをしていたことを後悔した。

 読みながら思った実況ログみたいな感想をここから少し書く。
 染井と吉野という二人が出てきて「ソメイヨシノ」って聞いたことあるな、何かの作品の登場人物の名前だったっけ、それを意識しているのかな、って思った。今調べてきた、サクラの名前だった、自分の知識のなさを思い知った。よく理解できなかったけれど、ソメイヨシノの起源は人工的に作られたものらしくて、何だか小説を愛した二人らしいなって思いました。たまたまかもしれないけれど。
 数ページ読むと染井くんにキスの経験があることが判明して「かぁ~」って頭を抱えてしまった。いい加減に作品の登場人物に嫉妬するのをやめたい。
 美術の時間に「でも、染井くんは私より、器用にやってるような気がする」ってセリフがあるのだけど、ここ読んでて好きって思った。真白がどういう人間なのかチラっと見えた気がした。そのあと携帯拾うシーンで、ぼくは名探偵なのでこの先の展開を先読みした。このとき「ぼくには展開が読めてしまったぞ~、さてさて、ぼくを楽しませてくれるのかい」って何を思ってか作品に煽りを入れた気がする。そんな心配をする必要はもちろんなかった。展開が読めるとか読めないとか、この作品の魅力はそういう所じゃなかった。
 読み進めて、吉野が衰弱していった。前作でも思ったけれど、どうしてぼくは彼女を救えないのだろうって気持ちになった。どうして吉野は死ぬのだろう。どうしてぼくは生きているのだろう。そういう罪悪感がぼくに芽生えた。冒頭のキスの記述で騒いでいたぼくは、迎えたキスシーンで悲しくなっていた。そこに嫉妬の感情はなかった。そして、遂に吉野が死んでぼくは吉野にがっかりした。だって、吉野は人間だった。ぼくは彼女が書けなくて弱っていく姿を、模倣されて壊れる姿を見たくなかった。そんなことで死ぬはずがないと思っていた。けれど、彼女はただの女の子だった。小説を愛するだけの、小説しか愛せないだけの女の子だった。
 そのあと、物語は染井くんと真白の二人の話になっていった。ぼくは染井くんは一生吉野を想って生きてほしいと思いながら読んでいた。数年後に恋だったと知って、キス止まりだったことを嘆いて、一生吉野の亡霊に憑りつかれて背負って生きてほしいと思っていた。
 第i章って表記するの、それだけで「はあ、好き」ってなったからやめてほしい♡
 ここから二人が前へ進むための話になる。二人で川で泳いだり自転車で坂駆け下りて生死を懸けたり別荘でお泊りしたり……「かぁ~~~~~~~~」って叫びまくった。佐野徹夜さんのこーゆーところが狂おしいほどに大好きで大嫌いなの!!!何て言えばいいのかな、きゅんきゅん、とは少し違うくて、本当とにかく「かぁ~」って感じなんですよ。前作もそう、まみずのために意味わからんことを一人で挑戦したり海までタクシー走らせたり……ぼくの考えた理想の青春をまっすぐにそのまま描いてぶん殴ってくるところが本当に好き。今回は終盤にたくさん持ってこられたので不意を突かれました。本当にありがとうございました。今回も無事、拗らせた童貞が悪化しました。

 読み終わったらお昼だった。きっとぼくが読むのが遅い方なのだと思うけれど、四時間くらいは経ってた。数分間ぼうっとして(頭の中は思考がぐるぐる回っているのだけれど、考え事してたら身体が動かなかった)、急に尿意と空腹が同時に襲ってきた。朝食もトイレも忘れて物語の世界に飲み込まれていたのだから当然だった。ご飯を食べながら、佐野徹夜さんってぼくのための存在なのかなって考えていた。
 と、いうのも、この作品はぼくに向けてのメッセージだとすぐ思ったんです。これほどまでにピンポイントにぼく宛てに書かれた小説があるだろうかって思ったんです。さらにそれが、ほとんど本を読まないぼくが知っている作家さんの小説なんです。これを運命と言わずに何て言うのかって話ですよ。 
 ぼくの話になるけれど、ぼくはこの世界に息苦しさを感じていて、ついにそれに耐えられなくて仕事を辞めて人生を逃亡している最中だ。小説を書いてみたいって言葉が心のどこかでぱっと蕾として生まれて、それに縋ってこの五カ月ほどを何とか、前も後ろも見ずに生きてきたけれど、そんなぼくはまだ小説を完成させていない。あの日、人生の意味が分からなくて死にたがっていたぼくの前に偶然現れた「君は月夜に光り輝く」は、ぼくに生きる力をくれた。それから、生きることを選んで少しずつ小説を書いていたけれど、こんなことして意味があるのかな、ぼくの作品に影響を受ける人なんていると思えないし、他の人の作品の方が面白いに決まってるって思ってしまうばかりで、すぐゲームに逃げてばかりだった。そんなぼくに、佐野徹夜さんは今作を以てぼくに書けって言ってくれているんですよ。諦めずに書けって、生きたいように生きろって、それがおまえの人生やって言ってくれているんですよ。ここにはぼくが不安に思っていたことの全てが書かれている。誰だって、佐野徹夜さんだって同じこと思うんだって、こんなに嬉しいことはない、励みになることはない。おれ今から頑張って書いて、ぼくの人生でこの恩を返していきたい。
 朝起きてから寝るまでずっと小説書いていますって一文、完全に朝だからってゲームしてたぼくに対するリプライじゃん。こういう何気ない一文で突き刺してくるのも、好き。

 それともう一つずっと考えていたのだけれど、ぼくという拗らせた童貞は染井くんと真白が結ばれていくことを心のどこかで許せない節がある気がする。染井くんは吉野と結ばれてほしいと部分がどこかにある。染井くんと真白は、吉野という共通項で関係を深めて、同じ罪の意識も持っていて、そういう心理がどこか二人を導いているように思えて仕方ない(童貞丸出し)。染井くんに救われた真白はともかく、染井くんは吉野だけを見ていてほしいとぼくは心のどこかで思っている。吉野の方はどうだろうか、本当に小説しか愛していなかったのだろうか。真白を染井くんの代わりのように部屋に招いて傍に置いたのは、そういう意味ではないだろうか。残した小説も、死にゆく私の代わりに染井くんを幸せにしてほしい、なんてメッセージだったりしないだろうか。そんな妄想がぼくの中には存在する。でもきっと、こういう結末が現実らしいのだろうなって恋愛経験のない童貞のぼくは思いました。
 くそどうでもいいけれど、ぼくの頭の中では真白は黒じゃなくて茶髪ポニテでしたね、人生投げてるって言いながらも周りと同調するために髪染めてるとかでも悪くないな?いや、そんな気持ちすらなくなった後って感じやな、ここで書いてて思ったわ、ぼくが浅かったわ。あと、あのおっさん髑髏ソックスがお気に入りなのかよ……かわいいかよ。

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(帯を読みながら)そういえば、岡田卓也くんは誰かと結婚したりしたんかなあ…してほしくねえなあ(まーた童貞丸出し)。でもまみずは新しい彼女つくれって言ってたよな、女性の気持ちがさっぱりわからへんな。けれど、仮に新しい彼女ができたとしても、まみずのことをその彼女に紹介して、二人でずっと想い続けてあげてほしいなとは思う。いやでもそれってまみずは嫉妬したくなるような気がするし、かといって彼女作らないのも罪悪感を与えるし、むーーーーん正解がわからんですね。