刹那主義至上主義

こいついつも推敲してないな

アオハル・ポイントという小説を読みました【感想記事】


 どうも、つい先日、一目惚れで地下アイドルに恋しました、そるにゃんです。
 今日はぼくの好きな作家さんである佐野徹夜先生の三作目であり最新作である「アオハル・ポイント」という小説の感想を綴ります。もしまだ読んでいないって人がいたら、それはいますぐ引き返して本屋さんに向かってください。そして「君は月夜に光り輝く」と「この世界にiをこめて」という小説を是非買いましょう。

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 さて、本題に入るわけですが、その前に、これからぼくが語ることはすべて褒めているという前提で以て受け取ってください。
 このアオハル・ポイントという小説を一言で表すならば、それは、「毒」です。
 毒。
 薬ではなく、毒。なぜって、
 ぼくはこの小説を読んで、絶望したから。
 ぼくは絶望しました。この小説に描かれていたものが、どうしようもないほどにぼくの大嫌いなこの現実だったから。
 現実。夢でもなければ理想でもない、本当に救いようのない現実。それはぼくが目を背けたいものであり、ぼくが本を読んでいる理由でもある。それが、この本には描かれていた。
 だからぼくは絶望した。見たくないものが、これでもかというほどに鮮明に、リアルに、吐き気を催すレベルに、汚く描かれていたから。
 正直に言って、もう二度と読みたくない。というか、この小説を読み返したい人間なんてこの世界に存在するのだろうか。ぼくにはいるとは思えない。そんなヤツが存在するというなら、ソイツは頭が変なヤツだ。コーラを入れながら、本当に俺は今コーラを飲みたいのだろうか、と考え始めるだろう。狂ってる。
 この小説のどの部分が現実なのかと訊かれればそれはまあ全部と答えるしかないのだが、特に気持ち悪いのは、登場人物の心情だ。本当に気持ち悪い。特に青木。主人公だからって、視点主だからって被害者面をしているのが本当に気持ち悪い。いや、お前が思ってることは痛いほど分かるけど、本当に気持ち悪い。お前が虐められるの、本当にお前が悪いからな。曽山はまあ、死ね、爪を一枚一枚全部剥がされて歯も一本一本抜かれてそうして段々身体を徐々に切断されていって死ねって感じだけど、コイツは女の前で「女は総じてクソ、信用してない(意訳)」って言えるくらいに腐っているので5億周くらいしてまだマシって感じ。いややっぱり許せんわ、曽山、死ね、曽山、死ね。
 いちばん許せないのはそんなクズを生み出した佐野徹夜先生。マジでなんでこんな作品を書いたのかが理解できない。先生、なにか辛いことでもあったんですか?って感じ。いや、たとえ辛いことがあったとして、それでもこんな作品を書く理由が分からない。どうしてこんな悲しみしかない作品を生み出してしまったのか。
 いや、正確には、悲しみしかないわけではない。この作品には、「現実はどうしようもないほどに汚くてクソだけれど、それでもほどほどじゃない特別を探して生きていこうぜ」っていう解答が綴られている。
 たしかにそれはそう。
 この世界がクソなことはどんなに地団駄踏んだって変わってはくれないし、そんなクソな世界のなかで足掻いていくしかない。
 けれど、だからと言って、こんなどうしようもない絶望をわざわざ描く必要は、いったいどこにあっただろうか。
 ぼくは青木から勇気をもらう以前に、あまりの絶望を前にして心がぽっきりと折れてしまっている。こんなクソな世界、目を逸らすべきだって言ってる。ていうか、こんなクソな世界から目を逸らしたくて小説を読んでいる。だというのに、その逃げ先にこんなものを用意するなんて、佐野徹夜先生は「若きウェルテルの悩み」の再来でも巻き起こしたいのだろうか。この小説を読んだ読者に絶望して嫌いな人をナイフで刺し殺してほしいと、そう思っているのだろうか。ぼくはなんだかそんな気がしてきた。いやきっと先生はそんなことを思っていないのだけれど。
 そういうわけで、ぼくはこのあまりにも夢のないこの小説にとてもじゃないが耐えられない。マジで絶望している。最初に言ったけど、これは褒めている。いや、夢のある小説を書いてほしいとは思っているけれど、ぼくをこれほどまでに絶望させキレさせていることはたいへん素晴らしい作品だということでもあるので、褒めている。本当にどうしようもねえ作品を書きやがったなという感じだ。よく見れば帯に「どこまでもリアル。登場人物をめぐるこの話は、同時に僕たちの物語でもある」って書いてあったわ。いやホンマその通りや。クソったれだよ。表紙とタイトルが前二作と似て綺麗なのが本当に厭らしいと思う。前二作はまだ夢のある作品だったのに、これは完全に絶望だよ。表紙を腸引き裂かれて内蔵が垂れている画像に差し替えてほしいと思う。いやそれはさすがに冗談だけれど。

 さて、ここまでぼくは散々絶望絶望と言っておいて、その絶望の具体的な内容についてはあまり語っていないわけだけれど、それを今から紐解こうと思う。
 ぼくがこの作品から受けた最大の絶望、それは、「成瀬心愛」に関することだ。
 成瀬心愛。
 たぶん学年でいちばん可愛いらしい少女。表向きは本当によくできた女の子。ポイントの高い女の子。
 気になる男の興味を引くために少女漫画を読み始めたりわざと地味になったり、色々と可愛い女の子。
 けれど、彼女のその本性は、まあ割とクズだ。特にそれが顕著に記されているのは254ページの「私、青木の味方出来ないかもしれない私自身を見たくないから、本当は学校、来てほしいなかった」というセリフ。このセリフから、まあずる賢い女の子だということは簡単に読み取れる。
 ……いや、それは別に良いのだ。それは絶望とは程遠い。むしろ、根っからの聖人よりもそういうちょっとクズなところがあった方が人間っぽくて好きかもしれないくらい。いや、根っからの聖人がいちばん好きだが。でも、それはまだ全然許容範囲。それを青木に直接言えるってことは、まだ彼女には多少の良心があるということだからだ。
 だから、ぼくが絶望したのは、そんなところじゃない。

 ぼくが絶望したのは、成瀬心愛が非処女だという事実だ。

 いや本当に、は?ってなった。
 もちろん、まったく予感していなかったわけじゃない。セフレという単語がこの小説のなかに出てきた頃から、薄々感じてはいた。感じてはいたのだが、それが明文化されて、さすがに絶望した。「佐野徹夜おまえマジでふざけんな世の中やっていいことと悪いことってあるよな何事にも限度ってもんがあるよなホンマ許せんおまえ死ね曽山と一緒に死ねいやもう俺が殺すぶっ殺す許さん死ね死ね」って叫びながらマジで文庫本をぶん投げた(物に当たってごめんなさい)
 いや本当に許せなかった。
 しょうもない胸糞展開を書いた佐野徹夜が、
 曽山なんていうしょうもないゴミカスに股を開いてしまった成瀬心愛が、
 そんな成瀬心愛を受け入れられず、彼女を拒絶してしまっている自分が。
 そう、俺は俺がいちばん許せなかった。成瀬心愛が非処女と判明した瞬間に激昂してしまった自分が許せなかった。おまえは成瀬心愛のどこを好きだと思ってんだよって、なにを見てんだよってなった。成瀬心愛は、そんな自分でも受け入れてくれますかって言ってんのに、なんで俺は落ち込んでんだよって思った。マジで自分に絶望した。
 この世界って、マジでそういうことってあるんだよな。自分の好きな女が、どうしようもないほどバカな男に引っかかって穢されてるってこと。本当に、全然ありえる話なんだよな。べつに成瀬心愛が本当に心から好きな相手が昔にいて、それで処女を捧げてんなら、俺はたぶん絶望していないと思うんだよ。例えば、このiの染井くんが吉野とセックスして童貞じゃなくなっていたとしても、それで真白は染井のことを拒絶したりしないと思うんだよ。だからさ、俺は成瀬心愛がしょうもないゴミの曽山に股を開いているのが許せないんだよな。そして、そんなしょうもないことを許せない自分が許せないわけ。どうして彼女を受け入れられないのか。彼女がいまはそれを反省していれば、それで良いことじゃん。だって、処女膜なんて再生するもんじゃないし、たとえ膜が再生できても、セックスした事実は絶対に消えないじゃん。だから、そんなのワロタで済ませて彼女を受け止めてあげるべきなんだよな。そんなしょうもないこと、ブツブツ言ってもしょうがないんだよな。
 それで、こうやって感想綴ってていま気付いたけど、なんでこれ、こんなにも成瀬心愛を傷つけていて、それで成瀬ルートじゃないん?普通、これ成瀬ルートじゃね?こんなにも成瀬にひどいことをしておいて、それで成瀬に待っている結末が失恋って、マジでなんでやねん。ホンマそういうところもこの作品が許せねえわ。どこまで現実を書けば気が済むねん。ワロタで済ませられることにも限度ってもんがあるんだよな。はーーーーーーマジでカス。しょうもな。ほんまなんでこんなオチになったねん。途中までは普通にラブコメしてたやんけ。なんでこんな胸糞展開になったねん。完璧超人の曽山と春日の距離が近付いて、それでなんかよく分からないけど焦っている自分がいて、この気持ちの正体はなんだって悩んでいる最中に成瀬からアプローチされて~みたいな、そんなとらドラ!展開で良かったやんけ。なんでこうなった?マジでなんで?そこまでして俺に「非処女のヒロインをおまえは愛せるか?」って問いたかったか?俺はこれほどかというほどに絶望しているよ。成瀬心愛を一瞬拒絶してしまった自分が嫌いでしょうがなくなっているよ。これで満足か?
 これは胸糞展開とはちょっと違うけど、予想外だった展開はもうひとつあって、それはコウちゃんと姉ちゃんが結婚しなかったこと。姉ちゃんが結婚相手を悩んでたから、絶対にコウちゃんと結婚するオチだと思っていたんだよな。葉っぱ吸ってるコウちゃんと青木の元になぜか駆けつけて一発ぶん殴って「金も身分もなにもなくても、それでもわたしはコウちゃんが好きなの」つって無理矢理結婚する、そんな強引なオチが来ると思っていたんだよな。それってこの作品の本質なんじゃないかなって思っていたから。それに触発されて主人公も「俺も釣り合いとか考えるのバカだわ、ちゃんと成瀬に好きって伝えよう」ってなると思っていたんだよな。どうしてコウちゃんはああなってしまったんだよ。姉ちゃんはあんなしょうもなさそうな男と結婚しちまったんだよ。なあ佐野徹夜先生、あなた絶対コウちゃんと姉ちゃんが結婚する没原稿を持っていますよね?一度はそういうオチを書いたことがありますよね?
 いやホンマ、なんでこんな不満だらけの感想を書いているのだろう。いや、この不満はすべて「それくらいこの作品がリアル」という誉め言葉ではあるのだけれど、それでも俺は、やっぱり、夢のある綺麗な話が読みたかったなって心のどこかで思ってるのだろうな。いやまあ、それは完全に俺の我儘なんだけど。現にこんなに成瀬心愛の処女膜の有無で頭を抱えてうつ病になっているし、それはそれほどまでにこの作品がリアルだからこそ成し得る技なんだよな。
 本当は、「俺も高校時代、高嶺の花のような存在に片想いしていたんだよな~あの子、彼氏いたんだよな~いや~俺は青木か~???」みたいな感想が書きたかった。冴えないうつ病そうな主人公がなんか知らんけどまーーーた冒頭から美少女と楽しい思いをしてる。佐野先生の作品の冒頭でひっくり返るのももはや天丼ネタやなwみたいな話をしたかった。佐野先生、相変わらず実現できそうでなかなかできない素敵なシチュエーションを描くのがお上手ですね、ぼくも薄暗い部屋で女の子と廃人のふりしながら人殺しゲームがしたいですって話をしたかった。けれど、なんかもう成瀬心愛の話しかできなくなってしまった。
 成瀬心愛のことで頭がいっぱいだよ。俺が世界でいちばん成瀬心愛のことが好きな自信がある。青木なんかよりは俺の方が適しているだろうと自負してる。いやまあ、こんな社会の底辺にいる俺と教室の花の成瀬じゃあ、到底釣り合わないんだけど。
 はーーーーー、しんどい。憂鬱になっている。やっぱり胸糞展開はクソだわ、曽山、頼むから死んでくれ。いや、曽山が死んだところで、成瀬の処女は蘇らないんだけど。
 やっぱりどれだけ考えても、最終的に、現実はクソに辿り着いてしまうし、はーーーーーーーーーーー現実はクソ!!!!!!!!!!オレは夢と希望に満ちた世界しか愛せない!!!!!!!!一生彼女とかいらんし童貞でいいわばーーーーーーーーーーーーーーーか!!!!!!!!!!!!!佐野徹夜先生の次回作をぼくは楽しみにしています!!!!!!できれば!!!!!もうしんどくなりたくないから甘々な作品が読みたいな!!!!!!!!!!!!!!いや!!!!!佐野徹夜先生のこのしんどさが好きなんだけどさ!!!!!!!!!マジで自分面倒くさいヤツやな!!!!!!!!!!!!いやホンマ!!!成瀬心愛なんて好きになるんじゃなかった!!!!なんで好きなんだろうな!!!!!!しょーーもねぇ野郎に股開く尻軽クソ女なのに、なんで好きなんだろうなぁ!!!!!!わかんねぇよばーーーーーか!!!!!

 

 

 追伸:佐野徹夜先生の小説、あとがきがいちばん楽しみみたいなところあるよな。ぼくだけか?w